劇団白夜【アステールより愛をこめて】観劇

劇団白夜。主宰兼作演出家・寺田直と俳優・宮林陽介によって結成。

社会問題を題材にブラックユーモアを交えたシニカルな作風でカルト的な人気があったが、宮林の外部出演での活躍により、エンタメ色の強いポジティブな作風へと変化していった。

今作も例にもれず、かつての夢を取り戻すという前向きな作品だった。

時折、寺田らしい皮肉な描写もあるものの、全体としては大衆受けするライトな内容だったという印象を受けた。

間口を広げるという狙いは成功し続けている白夜だが、筆者のようにかつての作風に衝撃を受けた者からすれば、宮林人気にあやかった凡作に感じてしまったのではないだろうか。ポスト宮林と期待されていたメンバー外立の退団の影響も大きい。

外立と入れ替わるように入団した新人・光井昇の演技には、かつての宮林のような鋭さと繊細さを感じた。

無論今回の内容ではその片鱗を感じたに過ぎないが、旗揚げ15周年となる今年、あわよくば、かつての作風で彼の演技を見たいと、次の新作へ思いを馳せることにする。